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October 2011

October 14, 2011

The Medic's Guide to Work and Electives Around the World4

今回紹介するのは、ちょっとユニークな本です。教科書や参考書では無く、Medical Electiveについてのガイドです。

Electiveのすゝめ

Electiveとは、医学部高学年の時に海外にいったりして他の国の病院やクリニックで見学や研修をする事です。日本語で直訳すれば、「選択期間」とでも言えるのでしょうか。時々、週刊医学界新聞などの医学系メディアで医学生の「米国○○病院での研修体験記」とかいう記事ありますよね。そう! それの事です。(説明が適当ですみません。。。)

日本では、状況は詳しく知りませんが、海外などでは大体2ヶ月から6ヶ月(米国で知り合ったドイツの医学生は6ヶ月もありました。。。羨ましい。。。)、こういった期間を医学部のカリキュラムとして組み込んでいます。僕の場合アメリカに2ヶ月いました。また、どちらかというとこういった海外実習の期間は医学の知識がまだIntegrateされていない低学年の時よりも、医学部低学年のElective termは医学部最終学年、もしくは最終学年の前の年(5年生時など)に行われる事が多いです。まぁ国によっては(例: アメリカ)実習はただの見学ではなく、チームの一員としてAdmissionやWard Round、治療プランに関わるなどSub-Internshipの様にある程度の責任を持ち、内容が濃いものまでありますので、5, 6年生の時に行うのは当然と言えば当然ですね。

ちなみにこのElectiveというのは、カナーリ楽しい期間なんです。勿論、研修する場所にもよるんでしょうけど、基本的にその期間中は医学部内のテストが無い訳で、実習に集中出来るし(これって超重要)、世界中の様々な人と、医学という名の媒体を通じてのグローバルコミュニケーションが出来るっちゅうのはとてもエキサイティングなんですな。勿論、他の国の病院で研修する事で学ぶ事は非常に多いですし、医学の知識だけではなく、その国の医療や医学教育に触れる事で、自分の国(日本など)のシステムの良い所、悪い所も客観的に再確認出来たりするのでそういった意味でも大切な期間なのです。

臨床留学の観点から言いますと、米国でのレジデンシーに応募する時の為に医学生の時に米国で実習し、Attending Physician等から強力なLetter of Recommendationを頂戴するというのは極めて重要なのです。米国だけでは無くオーストラリアでも、色々と病院が海外からの学生を受け入れていますので、もしちょっとオーストラリアの医学留学に興味があるという方はこういった機会を使って行ってみるのはとても良い事だと思います。英語の練習にもなりますし。

また、学生の時に一回でもこういった海外で見聞を広めるのはとても大事だと思います。自分の好きな国に短期留学して医学を学べるElectiveは学生の特権で、一回医者になってしまって働き始めると忙しくなってしまって中々こういった短期留学の機会は無いので。。。(医者になるとそれを実感します) また、米国では医療訴訟関係の問題が大きく存在し、訴訟リスクの比較的低い医学生だったら研修先の病院が保険をカバーしてくれたりするので患者さんと話したり、カルテを取ったり、Supervisionの中で手技を行ったり手術の際手洗いに入ったりする事が出来るんですが、医師になって、一旦訴訟リスクが生じる場合になってしまうと、米国ではObservershipといって、患者さんとの直接のコンタクトは許可されなくなったり医療行為が禁じてしまう場合が殆どなので、チームの見学(shadowing)をする事しか出来なくなったりします。。。なので、推薦書をもらう際もObservershipを終えた、というよりもElectiveでSubinternshipを終えた、という場合の方が推薦書として有利になるので、そういった面にも注意が必要となります。

さて、Elective期間の時にどこに行こうか、どういったプランを立てるかというのは休暇の旅行計画を立ててるみたいで結構ワクワクします。海外旅行に行く前の夜どきどきしてちょっと眠れないみたいな。それに海外に行っても24/7でずっと病院に住み着いて実習する訳ではなく、やっぱり息抜きの観光や旅行もElectiveの期間中する訳ですしね。

そんなElective termなんですが、所属している医学部によってはすでに提携している海外の医学部への短期留学プログラム等があります。そういった場合は学内で応募して、「TOEFL何点取りました」とか、「USMLE Step 1既に合格しましたけどー」とか応募の申請用紙で自己アピールしたり、学内面接等で選ばれれば、無事に短期留学のチャンスを得る事が出来ます。

ただ、大学によっては、自分自身が行きたい所への短期留学プログラムが無いとか、そもそもそういった留学プログラムが全く無い、という事もあり得ると思います。「将来アメリカで臨床研修したい! その為にはアメリカでElectiveをやってしっかり推薦書をもらいたい!」と思っても全くアメリカの医学部への短期留学プログラムが無かったりね。。。また、何となく海外実習したいんだけど何処に行けば良いか分からないとか。。。

この本はそういった人の為の海外の病院実習ガイドです。

はい。いつもの如く前置きが長いですね。。。すみません。

医学生と医師のための地球の歩き方

さてさて、この本はイギリスの医学生や医師によって主に編集されているみたいで、情報としては、やはりAnglo-Saxons系の国での情報が多くイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの国の情報に多くのページが割かれています。実際にこういった国は臨床留学の行き先でも一番人気ですよね。ただ、アフリカ、東南アジアなどの留学先としてはややマイナーな国や、さらに貧困国や「こんな国の名前今まで聞いた事ないよ」的な国の情報も載ってたりして、国境なき医師団など医療を通じての支援活動に興味のある学生にとっても納得出来る内容になっています。そのように、色々な国の情報が載っているので、少しパラパラめくって読んでいくだけでも観光ガイドブックを読んでいる感じになって正直結構楽しいです。肝心な我が国、日本ですが悲しいかな、英語があまり通じない国という事もあってElectiveの行き先としてはそこまで人気が無いようで情報は少なめです。

それぞれの国の情報では、国の基本情報(言語など)、医療に関する簡単な情報、Electiveをする為の条件(ビザに関する情報など)、その国で働く条件(医師免許制度など)などが書かれており、そういったIntroductionの後に、国内の都市・地域の基本情報、そしてその地域で海外からの実習を受け入れている病院の詳細(住所、問い合わせ先)などが載ってあります。病院の中にはコメントが掲載されているものも多くあり、実際の実習内容や必要な費用、アコモデーション、街の治安、周辺の観光地などのちょっとした役立つ情報があるので、Electiveの行き先を選ぶ時には参考になると思います。時々、「この病院の実習は楽なので、ちょっと気楽なエレクティブを楽しみたい人にはおすすめ」などと、医学生のQOLに関する事まで書いていたりします。。。!笑

先ほどふれたように、既に自分の大学できちんと短期留学プログラムが存在し、その留学先の情報が十分あればこういった本は別に必須本では無いですが、あまり良く分からないけど学生のうちに海外に行ってみたい! という人にとっては、役立つと思います。また、卒業した先生にとっても、米国でのObservership(見学)に応募する場合だとか、マッチングに望む際の基本的な情報収集だとかそういった色々な用途にこの本は使えると思います。

The Medic's Guide to Work and Electives Around the World
Mark Wilson
Hodder Arnold
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[医学書] Others その他 | Elective エレクティブ

October 13, 2011

[参考書] BRS Gross Anatomy (Board Review Series)3

Step 1ではLow YieldのAnatomyなのに重さは重量級

さて、今回の本はUSMLE参考書の定番、BRSのAnatomyについてです。

もうこの版は7版まで出版していて、初版なんかはもう結構前に出ていますよね。。。 前々からある参考書です。現在では、図などもカラーで掲載されており、全体的に見やすくなりました。

さて、この肉眼解剖学の教科書は、かなりComprehensiveな物となっています。Anatomyの基礎からしっかり書いてあって、それぞれのOrgan systemもきちんとカバー。筋肉は起始と停止、支配神経などの情報がしっかり表でまとめてあったりします。文章は他のBRSと同じく、箇条書きとなっています。

肝心の文章の内容ですが、それぞれの解剖学的部位での回りくどい説明は無く、シンプルなものになっています。医学部の中で解剖学のテストがある人にとっては、こういった形の参考書は良いんですが、ただ、逆に言うとFactの羅列が続き、文章が少しドライに感じてしまうかもしれません。

この本には、臨床的に重要な部分も箇条書きで載っています。骨折などの解剖学に直結する臨床的事項も無論掲載していますが、あまり解剖学的にそこまで関係ないもの(acute adrenal crisis)などについてのClinicalな情報も載っています。さらに、Cholecystectomyや、Culdocentesisなどの手術や手技についても書いてあって、参考書にしてはかなりのボリュームになっているんじゃないでしょうか。ページとしては500ページ以上あります。。。! これはもう参考書というよりも、教科書といったほうが良いですね。

こういった、基礎の教科書や参考書で臨床的な部分を載せるのは、アメリカ(また、イギリス、オーストラリアなどでも)の医学教育においては、個別個別の教科を勉強するよりも、より臨床的で総括的な学習をするという方法が既にMain streamとなっていますので、そういった意味ではオーソドックスな参考書といえるのではないでしょうか。

それぞれのチャプターには、他のBRSと同じく質問が載ってあります。殆どの質問はClinical Vignetteのスタイルですが、問題数が500問くらいあり、質問は、結構詳しい解剖学的知識を要求しているものもあったりして、USMLEなどの試験対策には不向きかもしれません。

ご存知とは思いますが、USMLEのGross Anatomyは教科としてあまりHigh Yieldではないので、とにかく効率良く、試験に出てくる必要な部分を覚えていかなければいけません。さらに、解剖学の枠組みの中には、Neuroanatomy、Histology、Embryologyも含まれるので、全て完全に勉強すると非常に多くの時間がかかります。こういった勉強法はちょっと避けなければなりません。そういった意味ではBRS Anatomyは残念ながらUSMLE対策の本としてはあまり良い本とはいえないでしょう。。。

RoadmapやHigh Yieldなどの薄い本がお薦めの参考書となりますが、医学部で現在ちょうと解剖学を勉強していて、将来USMLEの受験を計画している学生で、英語での解剖学を本格的に学びたいという人だったら、この本は中々良いんじゃないでしょうか。


BRS Gross Anatomy, North American Edition (Board Review Series)
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[Step 1] Gross Anatomy 肉眼解剖学 | [Step 1] Review Books 参考書

October 06, 2011

R.I.P. Steve Jobs

名演説でした。

合掌。




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Diary 日記 

October 01, 2011

[教科書] Kaplan Anatomy Coloring Book3

ちょっぴり久しぶりの教科書についてのレビューです。

さて、
Kaplan Medical Instituteといえば、USMLE受験者にとってはUSMLE- Step 1 QbankQbookなどが有名ですが、実は、とてもマイナーながら、こんなColor Bookも出版しています。

色を塗ったり、メモを書いたりしたり出来る解剖学のワークブック

このAnatomy Coloring Bookは、400ページ弱くらいあって、その中におよそ450のシンプルなイラストが描かれています。大体1ページあたり一つのイラストと考えて良いでしょう。

で、それぞれのページには簡単な解剖学的な説明がしてあって、またイラストの中には空のラベルがいくつか存在し、Spot-test styleの様に、自分でどんどん解剖学的位置を書いていきます。

勿論、カラーブックなので、色鉛筆やクレヨンを持っている人は色塗りを楽しむことが出来ます。筋肉を茶色にしたり動脈を赤色にしたりして、見るのに分かりやすくするのもありだし、思い切ってちょっと芸術学的にシュールな色にするのもありでしょう笑

そういったエクササイズや色塗りをしていくことによって、暗記が大変な解剖学を少しでもやさしくしましょう、というのが本書の趣旨だと思います。

また、ワークブックなので、本書を綺麗に使う必要は全く無く(また価格も大体2000円ちょっとです)解剖学の講義や、実習の時に、メモやノートを関連するページの中の空いているスペースやイラストの中ににどんどん書き込んでいく、という使い方も出来ます。要するに、教科書として使うのではなく、イラスト付のノートとして使うということですね。こういった使い方も良いんじゃないでしょうか。

まぁ、美術大学に進学するつもりが、間違って医学部に入学してしまったというレアな人に最適な本(!?)ですが、敷居が低く、解剖学を学んで本当に間もない初心者には良いワークブックではないでしょうか。

この本は、教科書では無いので、解剖学の情報源としては勿論情報不足ではありますが、むしろこういった書き込み可能な本は、アウトプット用のツールとして活用していくことが有効だと思います。まぁ必須な本ではありませんが、使い方によっては、解剖学の学習にうまく活用出来るかと思います。


Kaplan Anatomy Coloring Book
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[医学書] Gross Anatomy 肉眼解剖学