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February 24, 2013

日本語診察能力調査

医師国家試験受験認定についての記事の続きです。前回は書類審査のお話でしたが、今回はさらに次のステップ、日本語診察能力調査についてです。

この調査はまぁ平たく言ったらOSCEですね。内容は後に説明します。

この調査は外国の医学部卒業者で、書類審査を「合格」した人のみが受験出来ます。もし残念ながら書類審査で「合格」出来なかった場合は、合格率が低い医師国家試験予備試験を本試験の前に受験しなければならなかったり、最悪の場合は受験資格が全くなくなってしまうケースもありえます。

この調査は医師国家試験受験資格認定を得る為の最後の壁なので、何とか日本で医師になる為のスタートラインに立ちたいところです。ただ、この日本語診察能力調査は周りを見ていると合格率は高いので、あんまり心配しなくても良いと思います。

さて、調査の前のプロセスですが、書類審査が無事に終わって、それに合格すると厚生労働省から連絡が来ます。僕の場合は2010年7月末(丁度締め切りの頃です)に書類審査に必要な書類を全て提出したのですが、9月10日に日本語診察能力調査の実施日程に関するメールが届いて、さらに後日郵送にて関連書類が送られてきました。

実際に来たメールの内容です。

日本語による診察能力調査の実施について

医師国家試験受験資格認定申請者 各位

平素より大変お世話になっております。厚生労働省医政局医事課試験免許室国家試験係 ○○ と申します。標記について、下記のとおり実施いたしますのでお知らせいたします。詳細につきましては、翌週ご郵送いたします実施通知をご覧になりますようお願いいたします。なお、来週中に実施通知がお手元に届かない場合は、○○宛ご連絡いただくようお願いいたします。



日時 平成22年10月25日(月) 午後2時30分〜午後6時15分(午後2時00分集合)会場 厚生労働省17階 専用第21会議室


関連書類の中には、どういった物を試験に持って行くべきかなどが書かれています。連絡のメールには、書類審査に合格したという文は書いていなかったのですが、まぁ診察能力調査の案内が書かれてあったので、その時はほっとしました。メールの内容には、日時、実施場所などが書かれてあり、また送られてきた書類には、その試験場所に持っていくべき物などが記されていました。

ちなみに、2010年の時は、10月25日に日本語能力審査が行われました。試験は省のウェブサイトでもある通り、10月から11月の間に行われますが、書類審査が終わらないと試験の日程というのは教えてくれないみたいです。去年はどうやら試験官である先生のスケジュールの都合もあり、すぐには日程が決まらないという事が理由としてあったみたいでした。海外に住んでいる人にとっては仕事の調整もしないといけないので、出来るだけ早くスケジュールを教えてもらった方がありがたいんですけどね。。。まぁ仕方ないっす。

あと、僕の場合試験が10月25日午後で実施されていたのですが、受験者の数によって、試験が二回に分かれていたりする事もあるみたいです。(2009年は確か、二日にわたって試験が実施されていたのかな? それとも同日午前中に行われていたのかな? ちょっと覚えていません汗)

そして実施場所なんですが、2009年も2010年の時も厚生労働省で行われました。。。ただ、実施日時や場所などは、今後変更されていくかもしれませんので注意が必要です。


大きな地図で見る

さて、その調査の内容なんですが厚生労働省のウェブサイトの転載を用いて解説をしていこうと思います。

5. 日本語診療能力調査について

日本語を用いて診療するために十分な能力を有しているか否かを調査する。

この調査は、確かにスタイルとしてはOSCEに似た部分もありますが、あくまで着眼点は日本語をきちんと医療の現場で無難に使いこなせるかどうか、という事だと思います。海外。。。例えばイギリスやオーストラリアの卒業試験では難易度の高いOSCEやViva(口答試験)がありますが、そこで大切な部分はプレゼンテーションスキル含む語学力だけではなく、医学の知識、論理性、簡潔性なども求められます。この調査はそういった一定の高い次元での医学知識やスキルをテストするといったものではなく、あくまで日本で病院にちゃんと医師として働く為のコミュニケーションスキルはあるか、というのが大事なポイントです。

(1) 調査委員

ア.医師国家試験受験資格認定
内科、外科、小児科、産婦人科を専門とする医師国家試験委員を各1名


試験委員は4人いる事になっています。調査委員の先生は発表されないので、どういったケース/病態がテストされるかを予想するのは難しいのですが、調査委員の専門の科はこの4つだけなので(内科、外科、小児科、産婦人科)それ以外の科の事はあまり気にしない方が良いかなと思います。(耳鼻科とか、精神科とかそういったマイナー教科のことですね。)

(2) 調査内容

日本語の診療能力を調査するために必要と考えられる程度の医学に関する内容について試問する。


2010年は以下の様な感じでした。当時の記憶を詳しく思い出せないかも知れませんが、ご容赦ください。

10月25日は集合時間が午後2時(試験開始時が2時半)となっていましたので、新宿のホテルを1時過ぎくらいに出発して、東京メトロ霞ヶ関駅から徒歩0分、厚生労働省には2時前に着きました。
書類審査申請が7月末だったので、三ヶ月ぶりの厚生労働省。明らかに故郷の親に会う回数よりも厚労省に行く回数が多いのはさておき。

霞ヶ関駅から厚生労働省の地下の入り口はほぼ直通で繋がっています。省内に入るには、受付にて身分証明書を見せて一時通行証を受け取らないといけません。もう受付の人は受験者のリストを持っていたようで、氏名を紙に書いて、免許証を提示したらすんなり通行証をくれました。

通行手形をもちながら関所、もといセキュリティーゲートを抜け、エレベーターに乗り17階の会議室へ。

会議室ではもうすでに殆ど他の受験者の方達が座っていました。(というか、自分がぎりぎりの時間に来たというだけなんですが。。。)数は大体15人くらいでしょうか? 外見から見ただけでも色々な国のバックグラウンド - アジア、ヨーロッパ、南米の人達がいました。勿論日本人で海外の医学部を卒業した人もいました、僕も含め。

まぁ今は試験時間ではないから少し周りの人と雑談を。。。と思って、話しやすそうな方に失礼ながらちょっかいをかけて、話していました。そんな事をしているうちに試験はスタートしました。

午後2時半から午後6時半までが試験の時間でした。
4時間も日本語をしゃべくりせなアカンのかいな! と心配される方もおられるかもしれませんが、勿論実際のテスト時間はせいぜい30分にも満たず、あとはずっと待ち時間でした。一人ずつ順番を待って、呼ばれたら試験官、患者役の方(先生?)がいる別の部屋に入り、そこでクリニカルシナリオが開始するといった感じで試験は進んでいきました。

待ち時間が多く、一つのアドバイスとして言える事は、この試験には参考書などの何らかの本を持ってくる事を強くお奨めいたします。試験中ではあるものの本を読むことは許可されていました。勿論他の人と話すのは禁じられています。

ちなみに、2010年度の話ですが、二つのクリニカルシナリオがありました。
詳しい内容はもう忘れてしまったのですが(汗)、一つは産婦人科からのケース(若い女性の月経異常とか不正出血だったような気が)、もう一つは中年男性の体重減少、おなかの痛みなどの主訴で、識別診断として胃癌などの腹部の悪性腫瘍や膵炎、胆嚢炎などが考えられるケースでした。これは内科、もしくは外科のケースになるのかな。。。? 2009年度はどうも他の人の話を聞いていくと、4つのケースがあったみたいなので、年によって、色々違ってくるかもしれません。小児科のシナリオはありませんでした。

それぞれ短い10分程度の症例で、問診を行い、その後に指定された紙に内容をカルテの様に書き込んでいくといったものでした。

例として二例目では:

患者「実は、お腹のこのあたりが痛いんです。」
医師「どういった痛みでしょうか?」
患者「鈍い痛みなんですが。。。時々食事の後に出てくるんです」
医師「吐き気や実際に吐いてしまう事はありますか?」「便が黒くなってしまう事はありますか?」…

こんな感じで会話をしていたと思います。

また、患者役の方は本当の患者さんではないので身体所見を取ったり、血液検査や画像検査は出来ないのですが、診察のシミュレーションとして問診の後半になると体のどの部分の診察を行うか、また検査を行う場合はどの検査を行うかを言わなければいけません。

例として:

「腹部の触診を行いたいと思います。」→「心窩部から右季肋部にかけて軽度の圧痛あり、反跳痛、筋性防御は認めない。」
「ヘモグロビンはいくつでしょうか?」→「Hbは9.7g/dlです。」

みたいな感じでした。

で、その後はすぐにカルテを書いていくのですが、如何せん5分くらいでは、ちゃんとしたカルテを書くのは難しく、殆ど漢字もきちんとかけず書きなぐりの状態でした(汗
それでも合格していたので、文章は漢字含め完璧な文章じゃなくても良さそうです。

あと、色々調べてみると、2009年の調査では、聴診器を持ってくるのが必要だったみたいで、恐らく実際にPhysical ExaminationをするというちょっとOSCEに似たスタイルだったのかもしれませんが、2010年は聴診器を持ってこなくても良いという事が通達されていました。これを知った時、「もしかして、厚生労働省の方で診察に必要な道具は用意されているのかな?」と、最初は思いましたが、蓋をあけてみると、実際には全く必要なかったです。

年によって試験内容も若干の違いが見られるように、今後も色々な形式で試験が行われていくと思います。前の記事に少し書きましたが、厚生労働省は日本でも導入されるかも知れないOSCEのパイロット試験として日本語診察能力調査を位置づけている、という情報もありますので今後の変化に要注意です。

(3) 評価項目

以下の領域について評価を行う。

ア) 発話力
相手(患者、医師等)にわかりやすく説明又は指示を与えることができるか。また、適切で誤解のない表現を選ぶことができるか。


これは、普通に日本語での会話が出来、基本的な日本語での問診の仕方が分かっていたら恐らく問題無いと思います。問診する大まかな順序や内容は、言語は違うかも知れませんが殆ど変わらないのでは、と思います。

しかしそれでも慣れない日本語での問診は緊張してしまいますから、試験に臨む際は落ち着いて一つ一つの質問、説明を分かりやすい表現で行っていくように努めましょう。

イ) 理解力
相手(患者、医師等)の言うことを理解することができるか。また、適切な質問を自らすることによって、疑問を克服することができるか。


シナリオ中、問診で相手に質問してその答えが返ってきた時にしっかり理解出来るかどうか。後は試験中でもありましたが、問診中患者さん側からの質問もあったりしますがそれを分かるかどうか、みたいな事だと思います。

例えばさっきの二例目の腹痛の患者さんでは

「私は。。。癌なんでしょうか?」

みたいな質問をされた事もあります。
そういった質問も、患者さん側の気持ちをきちんと理解し、適切な答えを返していけば良いと思います。

あと、厚労省の文章にかかれている様に、医師対患者だけではなく、医師対医師のシチュエーションも考えられます。2010年では、医学用語で身体所見や検査所見の内容を聞いて理解出来たかどうかが問われました。僕の年には無かったですが、他の例としては、他の医師から患者の簡単なプレゼンテーションを受けて、それを理解出来るか? みたいな事も今後ひょっとしてあるのかもしれません。(その逆で、他の医師に患者のプレゼンを行うようなシナリオも今後あるかも知れません)

ウ) 作文力
基本的な医療記録を日本語(仮名混じりも可)で作成できるか。


ここは皆が比較的苦手にしているところでは無いでしょうか。
この試験を受ける海外生活が長い人の中には日本語の会話は問題なく、本など読んでいるけど、あまり日常書く必要のない漢字は苦手という人は多いはずです。
さらに、書かないといけないのは殆ど慣れていない日本語での医療文書だったりするのも苦手意識に拍車がかかったりします。

作文力を向上させるにはやはり練習あるのみ、という事なんでしょうが、一番大事なのは、日本語でのformatをしっかり理解しておく事が大事だと思います。

例えば、カルテに初診患者の事を書き込む時は大体フォーマットが決まっています。例えば上記の腹痛の患者だとしたら。。。

症例: 62才男性
主訴: 腹痛
現病歴: 2ヶ月程前から心窩部痛が出現し、暫く医療機関を受診せず様子をみていたが痛みは改善せず、さらに1週間前から黒色便が出現し、この2ヶ月間の約5kgの体重減少を認めた為平成○○年□□月△△日当院受診となった。
既往歴:高コレステロール血症
生活歴: 喫煙 - 20才時から一日20本/day 飲酒 - 一日ビール大瓶一本/day
薬剤歴: 無し アレルギー - 無し
家族歴: 父 - 大腸癌

みたいなフォーマットがあります。(内容はフィクションです)

他にも胸部レントゲンのプレゼンテーションとしては:

これは◯◯さん(患者さん)の胸部X線写真の胸部立位正面(PA)/胸部立位側面(LAT)/胸部臥位正面(AP)像です。
放射線量は適切です。(中央陰影を通じて椎間板がみえるかどうか)//放射線量は適切ではありません。
深呼吸時に撮影されています。//深呼吸時に撮影されていません。
(画像を指差し)右上肺野/右中肺野/右下肺野/左上肺野/左下肺野に約◯◯cm x ◯◯cmの単発性/多発性/びまん性で辺縁(へんえん)の明瞭/不明瞭な結節影/腫瘤影/浸潤影/スリガラス影/空洞影/びまん性網状粒状陰影(びまんせいもうじょうりゅうじょういんえい)が疑われます。
肋骨横隔膜角(Costophrenic angle)が正常で鋭角です。//肋骨横隔膜角が鈍化し、胸水の所見が認められます。
右肺門部/左肺門部に肺門部陰影/肺門リンパ節腫脹/肺うっ血を認めます。//肺門部陰影/肺門リンパ節腫脹、肺うっ血は認められません。
心胸郭比(CTR)は50%以上で心拡大の所見が疑われます。//心胸郭比は50%以下で心拡大の所見は認められません。
肋骨には骨折/石灰化などの所見はありません。//◯◯に骨折/石灰化の所見が認められます。
以上の胸部X線所見から、◯◯、◯◯などの病変が疑われます。

こんなフォーマットがある訳ですね。

まぁ上記の二つのやり方をそのまま丸暗記しなくても良いですし、これらは勝手に自分で作って雑になってしまって実際あんまり参考にならないかもしれませんが。。。汗

要するに大切なのはそういったフォームにまず慣れていく事だと思います。

エ) 語彙数
日本で通常用いられる医学用語を理解し使用することができるか

つまりはボキャブラリーですね。
医学用語はどの言語でも膨大で、漢字の読み方さえ難しくて分からないものが多いと思います。これはどうやって培えば良いのでしょうか。

これについて僕の意見としては、医師国家試験の勉強を書類審査が通ったらさっさと始めるという事に尽きると思います。

書類審査を通過した時点で本試験への道のりはぐっと近くなります。
この日本語診察能力調査で落ちる人はあんまりいないですし、またこの調査が終わる頃には10-11月と本試験までの時間も結構限られたものになっています。

なので、自分の中の語彙数を増やすのもかねて、国家試験の勉強をしていけば良いと考えます。地道な作業にはなりますが、国家試験の勉強中読み方が分からない、もしくは意味が分からない単語が出たらそれを電子辞書やインターネットで調べたりしてこつこつと言葉を覚えていきましょう。あんまりコレに関しては近道はないような気がします。(ただ、予備校のビデオを見てたり、予備校に通っている人は直接医学用語を聞けたりするので、それにより専門用語も覚えやすくなるとは思います。)

(4) その他

書類審査においては基準を満たしていたが、日本語診療能力調査において基準以下であった者については、医師国家試験予備試験受験資格認定を受けることができる。

もし、この試験に合格出来なかったら。。。あんまり考えたくないことではありますが、実は二つチョイスが選べるみたいです。

1. 上記の通り予備試験を受ける
2. 来年もう一度日本語診察能力調査にトライする

コレ。。。当たり前になりますが、一番目の選択をする人はいないと思います。予備試験を受けても合格率は10%くらいだし、もし合格してもすぐに本試験を受験出来る訳ではないし。。。2.を選べるのは、一応書類審査には合格しているから再度日本語診察能力調査に挑戦する資格はあるみたいです。その手続きの詳細はちょっと詳しくはありませんが、とりあえずもし落ちてしまってもそんなに落胆することではありません。。! (^^)

長く書いてしまった日本語診察能力調査の記事ですが、もう一度言いますと、そこまで心配をしなくても良いというのが僕の意見です。そもそも、書類審査を通るのに、日本語能力試験一級の資格を持っているか、もしくは日本の高校卒業である事が条件になっていますので、日本語能力に問題があるという方は殆どいないと思います。まぁ日本語能力試験には医学用語は含まれていませんが。。。

あと、時間があれば(迷惑にならない程度に)試験前に他の受験生の方とお話してみるのも良い事だと思います。海外の医学部を卒業した様々なバックグラウンドの方がいて、色々なお話を聞かせてもらい、連絡先を交換した後も国家試験を終わった後一緒にご飯を食べにいったりして、今思えばこの調査試験も良い経験だったな、なんて思います。

最後に。。。何回も言ってしまいますが試験の日程、時間、内容などは大幅に変わる可能性もあるので、気をつけてくださいね。あくまでも一個人の体験として軽く読んでいただければ、と思います。

次は、実際に使える(かもしれない)本などを紹介していきたいと思います。



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この記事へのコメント

1. Posted by Jun   March 06, 2013 07:01
お久しぶりです。
実は、試験が終わってから、まったく同じ内容で書いてました。こちらの方が詳しく読者に新設に書いてますが。
例の本も実は、知っていました。;)
初期研修についても書いてくださいね。

僕は4月から初期研修です。笑
2. Posted by しょうた   March 10, 2013 15:29
Junさん
お返事ありがとうございます。
さすがですね〜汗 もう書かれていたとは。。。
来月から日本で働くんですか?? もしお時間あったらご飯食べに行きましょ〜^^
3. Posted by カカル   January 30, 2019 20:40
こんにちは 診察能力試験受けた方いらしゃいますか?いかがですか?よろしくお願いします。
4. Posted by しょうた   June 16, 2019 11:51
カカルさん
すみません、このブログ全然開いていなくて。。。
試験大丈夫でしたでしょうか?
5. Posted by バト   September 21, 2019 17:40
こんにちは
来週の火曜日に試験を受ける者です

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